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[イベント] MAMアートコース:アートと知的財産権

 今日は森美術館のパブリックプログラムであるMAMアートコースの7回目「アートと知的財産権:クリエイティブ・コモンズの新たな役割」と題された、ローレンス・レッシグ教授の講演を聴いてきました。

Lesssig

 ジェファーソン大統領や作曲家スーザのエピソードから始まったレッシグ教授の講演は、たいへん興味深いものでした。知的財産権(著作権)という概念について、あらためてその本質を考えることができたように思います。

Cc

 さすがレッシグ教授の講演ということで、ご本人が録音・撮影OKとのことでしたので上のような写真も撮影することができました。

 非常に興味深かったのは、著作権というものの歴史が著作物によるコミュニケーションの歴史と絡み合っているというお話でした。もともと人々のコミュニケーションは双方向(RW)型であって、例えば古代ギリシアで会議、対話によって政治や哲学などが進化して行った。ところがルネサンスの頃から(グーテンベルクの活版発明などにより)RO(リードオンリー)カルチャーが発展し、プロフェッショナル表現者というものが出現した。そこに、プロとしての表現者を成立させるためのコピーライトという概念が生まれ、法律で著作権が守られるようになってきたというお話です。

 ところが、現代は表現のデジタル化やインターネットの普及により、コピー(複製)が容易になり、またあらゆる人たちが表現者となり得る状況が生まれた。そうしてプロとアマの境界があいまいになり、RWカルチャーが復活してきているのだと・・・。

 結局のところ、過去の法律による著作権保護が現在の経済合理性に合わなくなってきているということらしい。つまり、あらゆる手段を講じて著作権を守るために費やされるコストと、著作権を保持することで得られるベネフィットのバランスを考えると、必ずしも著作権を死守することがプロの表現者にとって経済的に見て合理的ではないということです。

 そこで、現在の著作権問題をcommercial economyとshareing economyの二項対立で考えるのではなく、その両方をミックスさせたhybrid economyを考えてみてはどうか?というのが、クリエイティブ・コモンズの原点です。ある一定の条件のもとで、ユーザにshare、remix、learnの3つを合法的に認めることで、プロにとってもアマチュアにとっても結果的にメリットがあるのではないかということです。クリエイティブ・コモンズ自体は、まだまだ日本では(欧米とは法制上の違いもあるため)普及していませんが、時代の流れや文化の変化に合わせて著作権に対する考え方も変わっていくというのは、とても自然な流れではないかと思います。

クリエイティブ・コモンズを理解するためのレッシグ教授の著作はこちら・・・

  

[イベント] MAMアートコース:21世紀の国際社会とこれからの日本

 今日は森美術館のパブリックプログラムのひとつである「MAMアートコース」の第4回「21世紀の国際社会とこれからの日本」と題する姜 尚中氏の講演を聞いてきました。

 姜さんのお話は画家デューラーから始まり、19世紀から今日に至るまでの世界経済史を追いながら、日本の国際社会(特にアジア)との関わり方についてや、現在の日本の政治制度や文化政策論まで幅広く展開されました。

 国際社会の中での日本のありかたについては、大国としてではなく中規模国として、独自の価値を持つ国となるべきだと論じ、そうした日本独自の価値を高めるために政治制度改革や、文化を育てるための社会関係資本の充実が必要だと説かれていました。姜さんの主要な研究対象であるマックス・ヴェーバーについても何度か言及され、現代政治においても有効なヴェーバーの考えを紹介されていました。

 「文化」という側面から日本と国際社会とのこれからの関係について考える、とても良い機会になりました。

[イベント] ライブラリートーク:Western-Style Painting in Japan

 今夜はアカデミーヒルズ六本木ライブラリーにて「Western-Style Painting in Japan」というテーマでの、 元上智大学教授姜徳煕先生によるライブラリートークでした。
 姜先生は、韓国生まれで日本育ち、その後米国に渡って美術史研究をされ、日本に戻って上智大学の教授をなさっていた方です。

 お話いただいた内容は、まさにタイトルの「Western-Style Painting in Japan」についてで、室町時代から現代に至る過程で、日本の画家たちがいかにして西洋的技法(写実、遠近法、陰影法)をその作品に取り入れ、「洋風画」が「洋画」へと変化して来たのかという日本美術史です。
 実際の作品のスライドを数多くご用意いただき、熱のこもったお話にはついつい聞き入ってしまいました。残念ながら時間が足りずに、お話は江戸時代までで終わってしまったのですが、いつかぜひこの続きをお話いただける機会があればと思わずにはいられませんでした。

 江戸時代までの日本の絵画では、「雲」と「波」と「光」を写実的に描き込む手法が確立していなかったとか、「解剖学」に裏打ちされた立体的な人物表現ができなかったとか、興味深いお話をいくつも聞かせていただきました。

 歴史的に日本人は美術を身近なものとして楽しんできた=「床の間」は家庭のミニチュア・ミュージアムであるというお話には、思わず「う~ん、なるほど」と感心してしまいました。

 詳しくは姜先生の著書(英文)に書かれているので、読めば先生のご研究の内容はわかるのですが、やはり作品のスライドとともにお話を聞くのと本を読むのとでは、理解の深さがちがってしまいます。またの機会が設けられることに期待したいと思います。

関連ページ:ライブラリートークレポートーアカデミーヒルズ

Kang Duk-Hee(姜 徳熈/カン・トクヒ): Western-Style Painting in Japan ADAPTATION AND ASSIMILATION(日本画における西洋画法の受容と影響)

Kang Duk-Hee(姜 徳熈/カン・トクヒ): Western-Style Painting in Japan ADAPTATION AND ASSIMILATION(日本画における西洋画法の受容と影響)