[マーケティング] 形だけ真似てもうまくいかない
最近、ある食品の通販店をはじめて利用したのですが、そのお店のマーケティング手法に関して、ちょっと思った事があるので書いてみます。
このお店は、どこかのメルマガだったかWEBのバナー広告だったかを見て面白そうだと思い、とりあえず広告に出ていた「お試しセット」を注文してみました。材料の仕入れから加工まで、かなりのこだわりを持った商品ということで、若干価格は高めですが品質には絶対の自信があるという感じの内容でした。
さて、商品が到着して早速いただいてみたのですが、おっしゃるとおり品質はかなり高いと満足できるものでした。包装や挨拶状(初めての客に対するもの)も特に問題はなく、再注文しようかなと思いました。ただ、その時点でちょっと気になった同梱書類がありました。後に、その気になり方が「ちょっと」ではなく「とても」になるのでした。
最初に商品が到着してから数日後だったでしょうか。このお店から立派な封筒に入ったDMが届きました。中に入っていたのは、商品サンプルと販売している商品に対する「思い」や「こだわり」を語る店主のメッセージや美味しいいただきかた、商品の保存法などが入ったDVD、そして「定期宅配プラン」の案内と「お客様の声」投稿用紙でした。
そうなんです。初回注文に同梱されていたのが、「定期宅配プラン」の案内と「お客様の声」投稿用紙だったんです。これが気になっていました。
まずは「定期宅配プラン」の案内。初めて注文したばかりの客に、これを送りますかねぇ。注文商品とは別にDVDと商品サンプルを送ってきたのは、良い意味でのサプライズではあったのですが、結局そのDMもメインは「定期宅配プラン」の案内だったわけです。1回しか注文していない客が、定期宅配に移行するのはハードル高いんじゃないのかなぁ。
それから「お客様の声」投稿用紙。これ自体に問題があるわけではありません。「こだわりを持ってお届けした商品を、実際に試してみてどのように感じたのか、あなたの「声」が気になります。ぜひお聞かせください。」みたいな感じで、特段変わったものではありません。しかし、こちらもメール等も含めて何度も「お願い」されてしまいます。さらに、アンケートフォームの最後に「追伸:あなたから頂く声は、自筆でいただけと、なおさらうれしいです。」の一文とFAXのフリーダイヤル番号がありました。「る」が抜けてるのはご愛嬌としても、なぜここまで執拗に客からのフィードバックを欲しがるのでしょうか。おそらく、客の声を今後の改善に生かすというよりは、喜びの声をWEBサイトなどに掲載して、新規客獲得のツールとして使うという目的のほうが先なのでしょう。
ここまで見てきて(これは想像ですが)このお店は、誰かネット通販コンサルタントの指導か、通販マーケティングの教科書みたいなものに忠実に、いろいろなことをやっているのだと思います。
- お客様にサプライズを提供しなさい
- 一度でも購入いただいたお客様をファンにするしくみを作りなさい
(この店では、一度購入するとお客様ではなく会員様と呼びます) - 継続的に購入してもらえるしくみを作りなさい
- 「お客様の声」は最強の推薦状と心得よ
といったことなのかもしれません。もちろん、これらの考え方が間違っているというわけではありません。ネット通販で成功するために意味のあることだと思います。ただ、重要なのなのはこうしたことを形として真似するだけではダメだということです。その裏づけとしての「心」が、すべての従業員になければならないということなのです。
ここまで書いてきた内容について、ちょっと厳しすぎる見方なのでは?と思われた方もいるかもしれませんが、私が「これではダメだ。結局すべて売り手側の都合だけじゃないか。」と決定的に思ったのは、以下の事実があったからなのです。
実は、私はこの店の商品を購入して、その品質にも配送手配その他のサービスにも、十分満足しましたし、再度この店の商品を注文したいと思ったのでした。そして、実際に再注文をしました。
再注文の際、備考欄に「初めて注文した商品はとても美味しかった。(きっと別の商品も美味しいだろうと思うので)今回は別商品を試してみたいと思い注文した。」という内容のコメントを書き添えました。これって、店側が欲しがっていた「お客様の声」じゃないんでしょうかね。私は、よく備考欄に書き込みをして注文をします。多くの場合は、それに対して注文受け確認メールなどで店側がコメントを返してきます。それによって対面販売ではないネット通販であっても、売り手と買い手の間に人と人のコミュニケーションは生まれるのです。コメントもらってうれしいのは店側だけではありません。客だって同じなんですよ。たったひと言「気に入っていただいてうれしいです。今回ご注文いただいた商品も自信を持ってお届けしますので、楽しみにしていてくださいね。」とでも書いてくれれば、印象が全然ちがうと思うのです。
この小さな一件で、私は「結局、客に美味しかったとコメントされても、ほんとにうれしいわけじゃないんだ。お客様の声は販促に使うだけなんだ。」とか、「定期宅配の客以外は、手がかかって面倒だと思ってるのかな?」とか、「注文は機械的に処理してるだけなんだな。」「すべてのサービスがシステマチックに行われているにすぎないんだな。」などと考えてしまったわけです。つまり「すべては売り手の都合でしかない」と。
この店の商品は気に入っていますし、サービスで何か重大な落ち度があったわけでもないので、今後もこの店で買い物をするかもしれません。しかし、それは自動販売機でジュースを買うのと同じようにでしかないでしょう。
顧客とのリレーションを深めるには、形だけではダメだという好例だったので取り上げてみました。顧客の「囲い込み」という発想は、明らかにもう通用しない概念です。そのあたりは、また別の事例をあげて書いてみようと思います。
































最近のコメント